ランナー膝

ランナー膝

走っていて膝に痛みが現れるランナー膝について、症状・原因・当院での治療法をご紹介いたします。

ランナー膝

走っていて膝が痛くなると「ランナー膝」といわれますが、人によって膝関節の内側・外側・上部・下部と痛みが現れる場所が異なる事があります。さまざまな病態が含まれる言い方ですが、狭義として「腸脛靭帯炎」を指している事が多いです。このページでは主に腸脛靭帯炎をご説明いたします。

ランナー膝について

 腸脛靭帯とは、骨盤の一部である腸骨とスネの骨である脛骨とを結んでいる靭帯であり、大腿部の外側に位置しています。オーバーワークや走っている時のフォームの問題等によって腸脛靭帯が膝関節外側部分で摩擦を起こすことによって腸脛靭帯炎が発症します。走っている時は特に膝関節の屈伸運動が起こるため、余計に摩擦が起こりやすく発症に繋がります。摩擦が起こることによって腸脛靭帯に小さい断裂がみられたり、わずかに骨膜に損傷が起こるなどの問題によって炎症が引き起こされてしまいます。もちろん、これはランナーの方だけでなく様々なスポーツの方にも発症するリスクがあります。腸脛靭帯炎はレントゲンやMRIで異常を見つけることが出来ないため、症状の特徴や徒手検査などの情報から判断します。

 

 腸脛靭帯炎の特徴的な症状は、膝の外側に痛みが引き起こされることです。腸脛靭帯炎によって膝の内側に痛みが引き起こされる事は無く、その場合には違う疾患や問題が考えられます。そして、発症初期は走った後に痛みが現れ、階段や坂の下りで特に痛みが生じることがあります。慢性的になると症状が走ってすぐに現れるようになったり、日常生活の歩行でも現れるようになることもあります。

・膝関節外側の痛み
・大腿部外側や股関節外側に張りや痛みを感じることがある
・発症初期は運動後半にかけて痛みが強く現れるようになる
(悪化していくと、日常生活での歩行でも痛みが現れる)
・階段の下り、下り坂で痛みが現れやすい

こんな方は要注意

〇走っている時の横揺れ

 当院では、腸脛靭帯炎発症の要因は走っている時のフォームの問題も影響していると考えております。特に、走っている時に横に揺れるような動作が大きい場合には外側に体重が逃げてしまうため腸脛靭帯に負担がかかり、摩擦が起こりやすい走り方と言えます。ご自身で確認するのは難しいですが、走っている状態を撮影して確認してみたりお知り合いに見てもらって確認することがオススメです。客観的にフォームの見直しを行い、腸脛靭帯などに負担がかからないようにすることが治療とともに必要な対策となります。

〇靴の踵が外側からすり減る

 普段履かれている靴を含めて、靴の踵が外側からすり減るような場合には重心位置異常が起こっている可能性を考えます。重心位置が外側に乗っているということは、必然的に靴の踵の外側が摩擦を起こしてすり減っていくことになります。しかし、重心位置が外側にかかった走り方となると横揺れしやすい状況であり、常に腸脛靭帯に負担となります。このような靴を履き続けることも注意が必要です。靴自体にその癖がついていると、いくら意識をしたとしても勝手に外側重心へと誘導されてしまう危険があります。

〇足の裏にタコやマメが出来ている

足裏のタコ 一見関係ないように思われますが、重心位置異常や足底のアーチの問題が起こっている方の多くに足裏のタコやマメが認められます。小趾の付け根付近、第2・3趾の下、このような位置に出来ていることが多いです。また、外反母趾・内反小趾が認められる場合にも、重心位置異常は大きく関与している事が間がられます。

腸脛靭帯炎以外の可能性

半月板損傷

 膝関節内には大腿骨と脛骨の間の内側・外側に半月板が存在しており、様々な動きによる衝撃を吸収してくれています。この半月板を転倒や咄嗟の動きの中で損傷してしまう事があり、特に捻られるような動作の際に痛めてしまう事が多いとされています。半月板損傷が引き起こされると、強い痛み・腫れが現れ、歩行時にカクっと力が抜けるようなタイミングが認められることもあります。内側半月板損傷の場合には膝の内側に、外側半月板損傷の場合には膝の外側に痛みが引き起こされます。程度にもよりますが、発症初期は出来るだけ安静にすることが大切です。

ジャンパー膝

 バスケットボールやバレーボールなどのように飛ぶことが多いスポーツの場合、膝の屈伸運動が連続して行われる事が増えます。そうなると、膝の曲げ伸ばしの際に膝蓋靭帯と摩擦を起こし膝蓋骨の上や下に炎症が引き起こされてしまいます。これが膝蓋靭帯炎(ジャンパー膝)です。膝関節の外側に痛みが引き起こされることは少ないですが、スポーツをしていての膝の痛みではランナー膝同様に悩まれている方が多くおられます。

ランナー膝の治療法

片膝 3300円(両膝 5500円)

 

鍼灸治療 当院では、腸脛靭帯炎に対して東洋医学的鍼治療とテーピング療法で治療を行っております。
腸脛靭帯炎の状況を変えるためには、まずは腸脛靭帯と組織との摩擦をいかに抑えるかがポイントとなります。膝関節周辺の筋力バランスや腸脛靭帯の異常な張りを取り除くために鍼治療を第一選択とします。電気鍼・トリガーポイントに対しての鍼治療など、状況に合わせた方法を選択いたします。当院で使用する鍼治療の鍼は、全て日本製の使い捨ての鍼を使用しております。
 また、特にレースを控えた方や症状が強い場合にはテーピング療法を行うこともあります。筋肉のサポート、リンパの改善、重心位置のサポートなど、テーピング療法についても人によって方法を変えながら行っております。